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生物にたいする配慮

2009年01月14日 22:03

晩に私は自分の観察を日記に書いた。デルスは焼串でヘラジカの肉をあぶっていた。夕食の時、私は肉の小片を焚火に投げた。これを見てデルスは、すぐさまそれを火から取り出し、わきのほうへほうった。
「どうして肉を火に投げるのかね?」彼はむっとした口調で言った。「どうしてただ焼いてしまうのか。わしら、あした去る。ここへべつの人、くる。そして食う。火にいれると、肉、なくなる」
「ここへ誰がくるかね?」今度は私がきいた。
「誰がだって?」彼はおどろいた。「タヌキがくる、アナグマがくる、カラスがくる、カラスがいないと、ネズミがくる。ネズミがいないと、アリがくる。タイガにはいろんなひとがいる」
私ははっきりわかってきた。デルスは人間ばかりでなく、たとえアリのような小さなものでも、あらゆる動物について心配していたのだ。彼はタイガとその住人を愛して、それについてあれこれと心配していた。
~デルス・ウザーラ~



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